理事長挨拶

ご挨拶

代表理事

一般社団法人 日本医学教育評価機構

理事長 髙久 史麿

本年7月13日に開催された第3回日本医学教育評価機構設立準備委員会において、理事長の役を務めることを依頼された。2012年に自治医科大学を退任するまで、長年にわたって医学教育にかかわってきた私にとって、極めて光栄なことであり、身の引き締まる思いで機構発足の理事長になることをお引き受けした。


わが国の医学教育の歴史を振り返ってみると、日本医学教育学会の設立(1969年)、医学教育振興財団の発足(1979年)、文部科学省(当時文部省)医学教育課による医学教育モデル・コア・カリキュラムの設定(2001年)、医療系大学間共用試験実施機構の発足(2002年)などが重大な転機としてあげられる。さらに、この度発足した日本医学教育評価機構(Japan Accreditation Council for Medical Education: JACME)は、米国で臨床研修を行う許可を与えるECFMG(Educational Commission for Foreign Medical Graduates)が、2010年に「国際基準で認証・評価を受けていない医学部の卒業生には2023年以降はECFMGの申請資格を与えない」という通告を出したことを契機にしたとはいえ、わが国の医学教育の歴史の中で最も画期的なことであると信じている。私の理解ではJACMEによる医学部の評価は、世界医学教育連盟(World Federation for Medical Education: WFME)の認証を受けることになるので、当然世界基準の厳しいものになることが予想される。


現在の日本の医学教育の中で最も問題になるのは、臨床実習である。JACMEの評価基準として、少なくとも70週の臨床実習期間を要求することとなると思う。また、臨床実習の期間だけでなく、その内容に関しても課題がある。たとえば、医学教育振興財団が毎年行っている、医学生の英国への短期留学の報告書を読んでも、英国での臨床実習はその内容が極めて実践的であることが十分にうかがえる。この挨拶文を書きながら、私が自治医科大学の学長をしていた時にカナダからEric Johnson教授をお迎えした時に、彼が赴任後間もなく「自治医大の医学生は臨床推論(clinical reasoning)ができない」と言ったことを思い出す。この言葉は、わが国の臨床の現場の問題点,ひいては学生の臨床実習の問題点を指摘した適切な言葉であった。


私は、JACMEが全国医学部長病院長会議が提唱者となって発足したことに重要な意義を見出している。JACMEの発足は、わが国のすべての医科大学が一致団結してわが国の医学教育の内容を世界最高のレベルまで引き上げる絶好の機会であると考え、わが国の医学教育に対する私の最後のつとめとして全力をつくす心算である。  わが国のすべての医学部,医科大学のご協力、御尽力を心から御願いして理事長挨拶の締めくくりとしたい。



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